古くから使われる麻の実の漢方としての効能や役割とは?

古くから使われる麻の実の漢方としての効能や役割とは?

古くから七味唐辛子の一味として食されてきた麻の実は、漢方素材としても長く親しまれています。今回は麻の実が漢方としてどのような効能や役割があるのかご紹介いたします。

「麻子仁」とは?

漢方の原料、生薬の一つに「麻子仁(マシニン)」があります。実はこれ、麻の実そのものを指しているのです。麻子仁にはいったいどのような効能があり、漢方に使用されているのでしょうか。

便通改善

麻の実には不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維には、胃腸内の水分を吸収して腸の働きを刺激し、便通を促すなどの役割があります。また麻の実に含まれるオレイン酸は血中の悪玉コレステロールを減らすほか、腸の蠕動運動を促進させると言われています。「麻子仁丸(マシニンガン)」という漢方薬には、麻子仁のほかにも腸を潤す生薬などが配合されており、体内の栄養状態の悪化や老化による腸内の水分不足を改善し、便通を良くすると言われています。

クラシエ_漢方薬名解説(麻子仁丸)

動悸や息切れを和らげる漢方薬の生薬として

麻子仁が含まれている炙甘草湯(シャカンゾウトウ)という漢方薬は、体力の消耗や発汗過多などにより生じる動機や不整脈に有効だと言われています。炙甘草湯にはさまざまな生薬が含まれており、気虚(疲れ・倦怠感)に効く炙甘草や血虚(貧血・めまい)を改善する地黄(ジオウ)、身体を温めて気や血のめぐりを改善する桂皮(ケイヒ)や生姜などが配合されています。麻子仁には体力消耗や過度の発汗により津液(涙や汗など体内の水液)不足となった腸に潤いを与え、便通を改善する役割があります。

女性とこどもの漢方学術院_わかりやすい漢方薬解説・漢方理論解説(炙甘草湯)

まとめ

麻の実の漢方としての効能や役割をご紹介いたしました。
漢方薬とは、いくつかの生薬の組み合わせによりからだ本来の持つバランスを整えるものだと言われています。自然の原料を使用していることで、とても安心感を持てますよね。日本では漢方薬を処方している医師が約9割もいるとのデータがありますので、ご紹介した症状でお悩みの方はかかりつけの医師にご相談してみるのもいいかもしれません。生薬としても使用されている麻の実を、これを機にぜひお手に取ってみてくださいね。